水ぼうそう(水痘)

先週は更新出来ませんでした。ごめんなさい。先週から今週にかけて水痘のお子さんが多く受診しました。保育園で発生するとお友達、兄弟にうつります。潜伏期が10日から20日位と2~3週あるので、だいたいお兄ちゃんがかかって1~2週間かけて治ると、その時期に弟くんが2週間の潜伏期を経て発症するというパターンがよく見受けられます。保育園ではこの連鎖がお友達同士でしばらく続きますので、予防接種を受けていないお子さんはだいたいうつります。

水痘は、流行している中にいたという事実と、予防接種を受けていないということと、特徴的な水疱を形成するので、だいたい親御さんが「水痘だと思うんですが」ときちんと診断をつけて来てくれることが多いです。予後(病気の経過)はおおむね良好ですが、抗ウイルス剤の早期(水疱出現3日以内の)内服で水疱数や発熱、掻痒感などの諸症状の軽減、罹患期間の短縮が期待出来ますので、内服をお勧めします。

水疱が出来始めの発赤疹(まだ水ぶくれになっていない水疱の赤ちゃん)、水疱(この段階で診断が確実になります)、か皮(いわゆるかさぶた)と各段階の皮疹が混在して同時に存在するのが水痘の特徴です。全ての皮疹がか皮化しないと他人にうつしてしまう可能性があるので登園、登校は禁止となります。この期間がだいたい一週間から10日間位です。

接触してから72時間以内の生ワクチン緊急接種で予防が可能と言われていますが、はじめに書いたように患者さんが判明した時にはこちらは既に潜伏期に入っている可能性が高いので、72時間以内です、と言い切れる場合のほうが少ないです。ちなみに発疹が発現する2日位前から他人にうつす可能性があるのでなおさらです。

水痘やおたふくの予防接種は麻疹風疹(MR)や3種混合と違い任意接種なので打たない場合がありますが、集団生活をする上で必ず感染する危険はあり、水痘も肺炎や脳炎、髄膜炎を併発する可能性があり、脳炎後に死亡例や後遺症が残る場合もあるので、やはり予防接種は1歳を過ぎたらMRの次に打っておいたほうがよいように思います。 

手足口病

麻疹の猛威もようやく落ち着きつつあり少しほっとしております。でもまだまだ安心は出来ません。麻疹のワクチンを接種していない方は早めに接種することをお勧めします。しつこいようですが1歳になったらまず麻疹風疹の混合ワクチンを接種しましょう。麻疹の抗体検査受付が再開されました。麻疹の免疫を確認したい方はお問い合わせください。

さて、この1週間は先週お伝えした毛虫皮膚炎の患者様が大勢いらっしゃいました。まだしばらく続きそうです。この時期、ツバキやサザンカには十分お気をつけ下さいませ。

今週は手足口病の患者様がちらほらいました。手のひらに米粒のような水ぶくれ(水疱性丘湿疹といいます)が出来て、受診されます。足のうらや指の間にも同じような水ぶくれが出来ていると、たいてい口の中、ほっぺの裏側の頬粘膜、舌などにも水疱があり、手足口病と診断されます。コクサッキーやエンテロウイルスが原因です。特別な治療は無く対症療法でだいたい落ち着きますが、口の中が口内炎の状態になると痛みや食べ物がしみるので、食べられなくなります。熱いもの、辛いもの、酸っぱいものなどは控えて「お口に優しいもの」を食べさせてあげましょう。

乳幼児の間で流行しますが、先日大学生の方もかかっていました。手のひらや指の間に米粒のような水疱が出来た場合は、早めにご相談ください。高熱は通常出ませんが、微熱が出ることがあります。

高熱が出て口の中に水疱や潰瘍が出来る場合は、やはりコクサッキーウイルスなどが原因となるヘルパンギーナがこれからの時期に流行します。乳幼児期に流行する夏風邪の一種です。プール熱(アデノウイルス)もこれからだし、麻疹が少し落ち着いてもなかなか安心できません。

お子様が元気がなかったり、熱が出たときは頭の先(髪の毛の中)から手足の先、口の中まで皮膚の状態もよーく観察してください。昨晩は何でもなかったけど、一晩でぽつぽつ出てくることもありますので、しばらく毎日の観察が必要でしょう。少し前は頭じらみもいました。それは、また次の機会に。 

チャドクガ

毛虫皮膚炎の患者さんが最近増えています。毛虫にやられると猛烈に痒いので皆さん相当辛そうに来院されます。

ツバキやサザンカの葉っぱの裏にチャドクガの幼虫である体長2センチほどの毛虫がびっしりと整列しているのが見られます。1匹の毛虫にはなんと50万本もの「毛」が生えています。庭や通り道にツバキやサザンカがある方は要注意です。

よく「毛虫に喰われた」といって来院される方がいますが、「蚊」や「蜂」のように刺したり喰ったりするわけではなく、「毛虫ちゃん」は自分の身を守るために、「毒針毛」という毛をまき散らして攻撃するわけです。毛虫を発見したら慌てず殺虫剤を噴霧するのが良いのですが、実際発見すると慌ててしまい、手で叩き落とそうとしたるすると「毒針毛」が舞い飛び、腕にちくちく刺さってしまいます。 その時にこすってしまうと皮膚炎がひどい状態になってしまいます。
「毒針毛」が腕などに付いた場合はセロテープなどで静かに貼り付けて取り除き、その後、水で良く洗うと皮膚炎は軽くすみます。

実際、毛虫を見ていなくても洗濯物を干すベランダの近くにツバキやサザンカがある場合も要注意です。風に乗って「毒針毛」が ふわふわと飛んできて、肌着などに付いてしまっている場合、それに気付かずに着てしまっても「毛虫皮膚炎」は起こります。その時は腕などの露出部だけではなく、肌着を着るときに「毒針毛」が触れるであろう場所なら顔でもお腹でもどこでも起こります。

この時期、原因不明の強い痒みがある場合は、「毛虫皮膚炎」の可能性も考えて、皮膚科にご相談下さい。

もちろん「毛虫ちゃん」に遭遇した後に痒みが出てしまった場合も早めに適切な処置をするようにしましょう。 


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