新型インフルエンザその2

すっかり1週間過ぎてしまいました。明日は、4年に一度の閏日(うるうび)です。東京では最高気温が15℃くらいに上昇しぽかぽか陽気のようですが、同時に花粉の大量飛散が予想されます。花粉症でくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みが現在ある方は、明日以降は要注意です。マスクや眼鏡をかけて、花粉をブロックしましょう。
さて、本題のインフルエンザの話に戻ります。
インフルエンザはA型、B型、C型とありますが、現在流行中のものも、新型が現れるだろうと考えられているものも、インフルエンザA型です。インフルエンザA型はウイルス粒子表面の糖蛋白:HA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)により多くの亜型に分けられます。
このHAとNAが、ウイルスの感染や、細胞内での増殖後のウイルスの放出に重要な役割を果たしています。
インフルエンザの特効薬であるタミフルやリレンザはこのNAの阻害作用で、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬剤です。
現在、HAは16種類、NAは9種類が報告されています。これらが様々な組み合わせで、複数の亜型として、ヒトやブタやトリなどの多くの宿主に広く分布しているのです。
A香港型はH3N2、Aソ連型はH1N1で、これまでにヒトの世界で流行が見られた亜型は、H1、H2、H3によるもののみでした。しかし、今、心配されている新型インフルエンザはH5N1とヒトの世界では未体験ゾーンなのです。次回は、何故、H5N1が出現するのか、どうしてそれが恐ろしいのかをお話しします。お楽しみに。
 

新型インフルエンザその1

 最近、テレビや新聞など各種メディアで新型インフルエンザを取り上げることが増えてきました。今日、私の校医をしている小学校の学校保健会で新型インフルエンザについて話をしました。
 新型インフルエンザ、現れてみないと、その正体が分からない分、とても不気味で脅威な存在です。必ず近い将来発生するであろうと考えられている新型インフルエンザ、一体どんなものと予測されているのか少しお話ししましょう。
 まず、インフルエンザウイルスのことを考えてみます。インフルエンザウイルスは直径1万分の1mm。細菌と違い、生きた細胞の中でしか増殖出来ないRNAウイルスです。そのため、ウイルスが衣服や肌についても1時間程度しか生きられませんが、ウイルスの付着した手を舐めたりすれば感染します。
 ヒトに感染した場合、鼻腔や咽頭粘膜表面の上皮細胞に取り込まれ、細胞の中で増殖し、ウイルス粒子の形で細胞外に放出されます。そのウイルス粒子が、くしゃみや咳をすることによって、空気中に飛び出し、飛沫感染により、他人にうつします。そのため、うつすヒトもうつされるヒトもマスクをすることにより感染予防を期待できます。しかし、飛沫感染で喉の粘膜に付着したウイルスは10分ほどで粘膜細胞の中に侵入してしまうため、うがいは感染予防には無効であるとの考え方もあります。
 インフルエンザウイルスはこのようにくしゃみや咳などの飛沫感染のほか、接触感染(電車の吊革、ドアのノブなど、ウイルスで汚染された環境からの感染。ウイルスの付いた手で鼻、目、口などを触り感染する。)、空気感染(感染者の咳によって空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染する。)によって感染するのです。
次回はインフルエンザウイルスの構造を簡単にご説明します。次回に続く。

MR(麻しん・風疹混合)予防接種の2期

暖かくなってくると花粉も辛いですが、4月は入学・進学の季節です。この春、小学校に入学するお子さんはMRワクチンの2期接種を3月31日までに済ませなければなりません。入学の準備で色々とお忙しいと思いますが、小学校入学前のMRワクチンを未だ接種していないかた、お手元に茶色の接種票があるかたは今一度確認をして、接種に該当されるかたは早めに接種を済ませましょう。麻疹(はしか)はまだ散発しております。空気感染する強力なウイルスですのでご注意を!

花粉症2008

今年は花粉の少なかった一昨年・昨年に比べ、3〜4倍の飛散が予想されています。昨年までは何とも無かった人が今年、花粉症デビューする可能性もあります。クリニックにはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、涙目、目のかゆみで受診される方が増えて来ました。今年は寒い日が続いていますので、ぽかぽかと暖かく天気が良いとお散歩したくなりますが、そんな日は花粉も飛びますので要注意です。5月の連休くらいまでは花粉は飛びますので、花粉症のかたはなるべく外出しない(のは無理でしょうから)、外出時はマスクやめがねで防御する、洗濯物は部屋干しする、ふとんははたく程度で長時間干さない、外出から帰宅時は頭、上着をよくはたく、など花粉を家の中に持ち込まないようにします。以前、東京都郊外に住んでいた頃、車のフロントガラスに黄色い花粉がべったりついていて、こすってもなかなか取れなかったことを思うと、花粉の粘着力は相当なものです。なめてかかると痛い目にあいます。日常生活でなるべく花粉に接触しないように注意して、毎年症状が出る方は予防的に、もう症状が出てる方は早めに、抗アレルギー剤の内服、点眼、点鼻が有効です。わたしにとって寒いのも苦手ですが、暖かくなって花粉が飛ぶのも辛いもので忍耐の季節の始まりです。
 話は変わりますが、隣駅の梅ヶ丘にある羽根木公園のせたがや梅まつりに行って来ました。今年は寒いためか梅はまだ二分咲き程度でしたが、堅く結んだつぼみがほころぶその時を静かに待っていました。
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