新型インフルエンザその1

 最近、テレビや新聞など各種メディアで新型インフルエンザを取り上げることが増えてきました。今日、私の校医をしている小学校の学校保健会で新型インフルエンザについて話をしました。
 新型インフルエンザ、現れてみないと、その正体が分からない分、とても不気味で脅威な存在です。必ず近い将来発生するであろうと考えられている新型インフルエンザ、一体どんなものと予測されているのか少しお話ししましょう。
 まず、インフルエンザウイルスのことを考えてみます。インフルエンザウイルスは直径1万分の1mm。細菌と違い、生きた細胞の中でしか増殖出来ないRNAウイルスです。そのため、ウイルスが衣服や肌についても1時間程度しか生きられませんが、ウイルスの付着した手を舐めたりすれば感染します。
 ヒトに感染した場合、鼻腔や咽頭粘膜表面の上皮細胞に取り込まれ、細胞の中で増殖し、ウイルス粒子の形で細胞外に放出されます。そのウイルス粒子が、くしゃみや咳をすることによって、空気中に飛び出し、飛沫感染により、他人にうつします。そのため、うつすヒトもうつされるヒトもマスクをすることにより感染予防を期待できます。しかし、飛沫感染で喉の粘膜に付着したウイルスは10分ほどで粘膜細胞の中に侵入してしまうため、うがいは感染予防には無効であるとの考え方もあります。
 インフルエンザウイルスはこのようにくしゃみや咳などの飛沫感染のほか、接触感染(電車の吊革、ドアのノブなど、ウイルスで汚染された環境からの感染。ウイルスの付いた手で鼻、目、口などを触り感染する。)、空気感染(感染者の咳によって空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染する。)によって感染するのです。
次回はインフルエンザウイルスの構造を簡単にご説明します。次回に続く。


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