MR(麻疹・風疹混合)予防接種・3期・4期のお知らせ

2008年4月から、MRワクチンの中学1年相当(第3期)と高校3年相当(第4期)の定期予防接種が公費で接種可能となります。2006年から6歳児が第2期の接種をするようになりましたが、それより年上のお子さんは1歳時に1回しか接種をしていなかったため、2007年に10歳代から20歳代を中心とした年齢層で麻疹が流行し、多くの学校が休校の処置をとるなど社会的な問題となりました。このため、厚生労働省は麻疹の予防接種を1回しか受けていない年代に対し、2回目の予防接種を受ける機会を設けることにしたのです。
 
第3期 中学1年生相当年齢の人(平成7年4月2日〜平成8年4月1日生まれの人)
第4期 高校3年生相当年齢の人(平成2年4月2日〜形成3年4月1日生まれの人)
 
実施期間 平成20年4月1日〜平成25年3月31日までの5年間限定
     (1年間ありますが、特に4月〜6月の3ヵ月間は重点的に接種すべき期間です。)
 
お子様が上記にあたるかたは、4月になったら、早めに接種を済ませるようにお勧めします。
 
そこでカバーされない18歳から20歳代の大学生相当のかたは、免疫保有率も83〜87%と他の世代よりも1割ほど低いため、自己責任で接種をすることをお勧めします。実際、自費で接種に来られる大学生の方がかなりいます。免疫がないまま、15歳以上で感染すると7割程度は入院をするほど重症化します。肺炎や脳炎を併発し、生命に関わることもあるため、やはりワクチン接種はとてもとても大切なのです。
 

「はしか輸出国」という汚名返上して、一日も早く「はしか制圧国」になるよう、個々の意識が大切です。 

新型インフルエンザその4

 先週も書きましたが、スギ花粉が本格的に飛散しています。今週も花粉症の患者様さんがたくさん受診されました。今まで花粉症だと思ったことが無いのだけど・・、風邪だと思っていたけど、もしや花粉症か?・・と受診される方が結構いらっしゃいます。幼稚園児や小学校低学年のお子さんでも花粉症の症状で辛い思いをしている子がいますので、親御さんが花粉症で悩んでいる方は、お子さんが花粉症の症状が無いか、気を付けてみて下さい。
 さて、長くなってきましたが、新型インフルエンザの続きです。
これまでにヒトの世界で流行を起こしたことのないA型のインフルエンザウイルスが、本来の宿主であるカモなどの水禽から、野鳥(渡り鳥など)、家禽(にわとり、アヒルなど)、他のほ乳類を通して、ヒトの世界に侵入して、その遺伝子に変異を起こしたり、ヒトのインフルエンザウイルスとの間で遺伝子の組み換えを起こしたりして、ヒトに適応して、ヒトからヒトへと効率良く感染出来るようになったものが、新型インフルエンザとなるのです。
 新型インフルエンザが、ヒトの世界で広範かつ急速に、ヒトからヒトへと感染して拡大し、世界的に大流行している状態をインフルエンザパンデミックといいます。
 現在、H5N1のトリインフルエンザウイルスが東南アジアを中心にその地域のトリの世界に定着しつつあり、病鳥や死鳥との濃厚接触により感染するヒトが後を絶たず、このままヒトへの感染が続けば、このウイルスがヒトに適応し、効率的にヒトーヒト感染するようになり、新型インフルエンザとなることが懸念されています。H5N1は本来、カモなどが保有しているウイルスで、野鳥はウイルスに感染しても発症することがほとんどありませんが、このウイルスが変異してにわとりや七面鳥などの家禽類に感染すると発症し、死に至らしめられることがあります。この強毒ウイルスを高病原性トリインフルエンザウイルスというのです。
にわとりなどの家禽に対して致死的な感染を引き起こすインフルエンザA型のH5N1。
1997年に香港で発生したトリからヒトへの直接感染が、初めて報告されたヒトに感染したケースです。
致死的な感染を受けた患者は、ウイルス血症を来して、呼吸器系のみならず、全身主要臓器への感染による多臓器不全を起こして死亡するのです。(はしかやみずぼうそうが頭の先から足の先まで発疹が出来るのを見て分かるように、喉から入ったウイルスが血液中に入り、全身の隅々まで拡がって体を攻撃するのです。)2003年12月以降、アジア、アフリカ、ヨーロッパ各国でH5N1高病原性鳥インフルエンザのヒトへの感染が相次いでいます。WHOによると2008年2月15日現在、発症者361人中、死亡者227人と、死亡率はなんと63%と6割以上の致死率なのです。そして、昨年、中国では初めてヒトからヒトへの感染事例が報告されました。いつ突然起こってもおかしくない新型インフルエンザパンデミック、私たちはこれからどうすれば良いのでしょう。また、来週。
 

新型インフルエンザその3

だいぶ暖かくなってきました。花粉症のかたの受診も増えて来ました。症状が出てからでも内服治療は有効ですので、自分の症状にあった治療、眠気など副作用のでない自分に一番あった治療をしばらく継続するようにしてみましょう。私も現在、内服、点眼で治療をしています。
 さて、今回はインフルエンザウイルスの変異について少し説明します。
同じインフルエンザなのに毎年流行します。昨年かかったのに今年もまたかかる方がいます。はしかや水ぼうそうは1回かかれば2度とかからないのに、同じウイルスでもインフルエンザは、何故、何度もかかるのでしょう。それは、同じ亜型の中でも、毎年、わずかな変化をしているからなのです。この少しだけの変化のことを、連続抗原変異(antigenic drift)といいます。これは車でいうところのマイナーモデルチェンジです。ウイルスからしてみれば、生き延びるために、少しだけ姿を変えて、ヒトに感染して、種を残そうとしているわけです。この小変異を毎年続けながら、数年から数十年単位で流行が続くわけです。
一方、突然、まったく別の亜型にとって代わることがあり、これを不連続抗原変異(antigenic shift)といい、フルモデルチェンジです。この、大変異が起こったこと=新型インフルエンザを出現した、ということになるわけです。
過去のインフルエンザの歴史を見てみると、1918年に始まったスペイン型(H1N1)(注:スペイン風邪は風邪ではなくてインフルエンザだったのです。)は39年間続き、1957年からはアジア型(H2N2)が11年間続きました。1968年には香港型(H3N2)が現れ、1977年にはソ連型(H1N1)が加わり、現在、A型H3N2とA型H1N1とB型の3種類のインフルエンザウイルスが世界中で共通した流行株となっているのです。A型香港H3N2が現れて40年、A型ソ連H1N1が現れて31年連続しているため、状況的には、いつ新型に置き換わってもおかしくない状況なのです。では、また、来週。
 


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